~ゼロからの出発~
平成8年春、農水省の「新規就農フェア」(現在の新・農業人フェア)が私の出発点です。笑顔のパンフレットでは伝わらない何かを知りたくてフェアで出会った縁をたよって全国各地(6県20市町村)へ出向き、現場を見学しました。
自分の中で農へのあこがれが具体的なイメージに変わっていくと同時に農のもつ課題や現実の厳しさが見えてきました。
「農」を土台にどう生きるのか?
現地に足を運び、本を読みあさり。とことん悩んだのがこの頃でした。悩んだ末の結論であることが、その後のどん底時代を支えたのです。
初めの決意が、折れそうな心を支える最大のエネルギーである事は、今でも、正しい考えだと思っています。
当時の仲間が次々と姿を消していく中、諦めないでひた向きに取り組んだ結果がここにあります。
私の「はじめの一歩」はあなたの「はじめの一歩」につながっています。
「折れない心」があれば、道は必ず開けます。
~今 そして これから~
紆余曲折、貫いた自己完結する農業は、会社からいちばん近い市内最大級の量販店のみやもと農園コーナーに見る事ができます。
そこには四季折々の野菜が常時8品目以上並んでいて同じようなコーナーが他県下7店舗で展開中です。
独りぼっちの変わり者あつかいされていた男の農園は、スタッフが増え、近所の人が訪れ、街中の飲食店に必要とされる存在へと変化しました。
農園の将来で取り組まなければならないのが次世代の組織を創ることです。世襲ではないみやもと農園は、働く人の会社であり、働く人に支えられていることは今もこれからもかわりありません。今これを読んでいるあなたが、10年後の会社のリーダーかもしれないのです。
~こだわりは生きざま~
農業に限らずモノづくりを目指す方なら、自分の「こだわり」を形にしたいと誰しも思うのではないでしょうか。
特に外部から独立型で新規参入するほとんどの方は「こだわり」を形にして、豊かに暮らしたいという思いが強いのはあたり前。
私もそのひとり。それは、就農当時も今も同じです。
◦農薬や化学肥料は未満に抑える(特別栽培)ルールの上で育てていても、頭上かん水はいくつもの集落を流れてきた河の水をポンプアップして、使っています。
◦キュウリハウス30棟もある大きな農家は、自宅の玄関横に、自給用を3株植えています。
◦何十年の葉物野菜産地は、耐性が強くなって効かないからと殺虫剤濃度は規定の2倍とのこと。
これらの事はいろいろな農家・産地の見学で私自身が見た・聞いたもののひとつです。決して全てではありませんが、消費者には、安心安全、おいしいをアピールしながら現実はこれなのか?大きな組織のダークな部分がいやで、脱サラ就農した私には許せないことでした。
裏も表もないまっ直ぐな栽培方法は、一見苦労の連続のように思われるかもしれませんが、ストレスのない毎日は働く人の次の活力に、元気に育つ作物の成長に結びついています。